2020年8月、神奈川県川崎市の首都高速湾岸線で発生したある交通事故が、再び注目を集めています。
時速268kmという前代未聞のスピードで走行していたポルシェが乗用車に追突し、高齢夫婦2人が死亡したこの事件。
2025年11月に初公判が開かれ、加害者である彦田嘉之被告の供述が物議を醸しています。
当記事では、事件の詳細や裁判の争点、専門家やネット上の反応などについて深掘りします。
事故の概要
事故が起きたのは2020年8月、休日の朝8時過ぎ。
神奈川県川崎市の首都高速湾岸線、制限速度80km/hの区間で発生しました。
55歳の彦田嘉之被告が運転していたのは高級スポーツカー・ポルシェ。
速度はなんと時速200〜268kmに達しており、3倍以上のスピードで走行していたことが判明しています。
彦田被告は、前方を走行していた70歳と63歳の高齢夫婦が乗る乗用車を追い抜こうとした際、猛スピードのまま追突。
衝撃で乗用車の右後部が大破し、女性は車外に投げ出され、その場で死亡。
男性も後に死亡が確認されました。
この事故により、当該区間は約8時間にわたり通行止めとなりました。

加害者・彦田嘉之被告とは?
加害者である彦田嘉之被告(当時55歳)は東京都江戸川区に在住。
事故当時、助手席には19歳の長男が同乗していました。
検察によれば、彦田被告は「息子に車の性能を見せて驚かせようとした」と語っており、この無謀な動機が重大事故を招いたと指摘されています。
一方、初公判では「大幅な速度超過で重大な事故を起こしてしまい申し訳ない」と謝罪しつつも、「制御困難な進行はしていない」として起訴内容の一部を否認。
裁判は「危険運転致死罪」か「過失運転致死罪」かが争点となっています。
検察と弁護側の主張の違い
検察側は「猛烈な速度で走行すること自体が他者の運転を妨害する目的だった」とし、危険運転致死罪の成立を主張。
これは非常に重い刑罰が科される可能性がある罪です。
一方の弁護側は、被告の速度超過は認めつつも、「妨害目的はなく、制御もできていた」として、より軽い過失運転致死罪が妥当だと反論しています。
判決は2026年1月中に言い渡される予定で、注目が集まっています。
専門家の見解
交通事故問題に詳しいノンフィクション作家・柳原三佳氏は、「ポルシェが安定して走行できるからといって、時速268kmで走ることが許されるわけではない」と指摘。
「制御困難でない」とする被告の主張についても、「衝突した時点で制御不能と見なせる」と述べています。
また、「このような事故を過失と扱えば、今後の悪しき前例となる」として、危険運転致死罪の適用が妥当だと強調しています。
ネット上での反応と声
ネット上では、この事件について、多数の批判的な意見が寄せられています。
・「時速268kmで走るなんて、もはや殺人行為」
・「亡くなったご夫婦が本当に気の毒」
・「長男に見せたかった?人の命をなんだと思ってるのか」
・「このような危険運転には厳罰を」
一方で、
・「制限速度を大幅に超えていれば事故の結果は想像できたはず」
という冷静な分析も見られました。

まとめ
今回のポルシェ暴走事故は、単なる交通事故ではありません。
極端な速度違反と身勝手な動機が複合した、極めて悪質な事例です。
被害者となった高齢夫婦の命は戻らず、残された遺族の無念は計り知れません。
判決が下される2026年1月には、今後の交通裁判の重要な判例となる可能性もあります。
私達1人1人が、交通ルールの重みと、車という凶器になり得る道具の扱いについて、改めて考え直す必要があるでしょう。

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