高速バスにおける「相席ブロック」という迷惑行為が近年、深刻な社会問題となっています。
これは、隣席に他人が座らないよう複数席を予約し、乗車直前にキャンセルするという手口。
特に年末年始などの帰省ラッシュ時期には、他の利用者にも多大な影響を与え、高速バス会社も経済的損害を被っています。
当記事では、「相席ブロック」とは何か、なぜ発生するのか、そして各社がどのような対策を講じているのかを深掘りします。
相席ブロックが発生する背景
「相席ブロック」が広がった背景には、コロナ禍による他人との接触回避の心理、そしてネット予約の利便性が大きく影響しています。
特に1人利用者の中には「隣に人がいない方が快適」と感じる人も多く、1人で最大10席予約し、直前に9席をキャンセルする事例も報告されています。
また、高速バスのキャンセル料が比較的安価である点も、この問題を助長している要因の1つと考えられます。

高速バス会社の損失と利用者への影響
相席ブロックが行われることで、本来得られるはずだった運賃収入をバス会社が失うだけでなく、他の利用者が座席を確保できずに利用を断念するケースも出ています。
特に事前に計画を立てていた家族連れや帰省客が影響を受けやすく、予約が取れずに新幹線や別の交通手段に変更せざるを得ない状況も。
バス会社はこの迷惑行為によって経営上のリスクも高まっていると指摘しています。
引用:讀賣新聞オンライン
各バス会社の対策事例
この問題に対し、複数のバス会社が払戻手数料の引き上げに踏み切っています。
例えば、ジェイアールバス関東は東京-大阪間の路線で、乗車前日や当日のキャンセル料を20%から30%に引き上げました。
富士急バスや西日本鉄道も同様に、100円から最大運賃の50%にまで手数料を増額しています。
さらに、SNSを活用して利用者へのモラル喚起も行われており、「相席ブロックは絶対にやめてください」といった呼びかけが公式アカウントで発信されています。
法的リスクと専門家の見解
相席ブロックは一見すると単なるキャンセル行為に見えますが、悪質な場合には法的リスクを伴う可能性もあります。
弁護士の越田雄樹氏は、「業務妨害に該当する可能性があり、損害賠償の対象にもなり得る」と指摘。
また、「最初から悪意をもってキャンセル前提で予約したと証明できれば、偽計業務妨害罪に問われる可能性もある」と警鐘を鳴らしています。
ネット上での反応と声
ネットでは、
・「相席ブロックは迷惑すぎる」
・「モラルの欠如」
・「キャンセルしやすい制度を逆手に取ってる」
といった批判的な声が多く見られます。
一方で、
・「長距離移動では隣に誰もいない方が快適」
といった意見も一定数存在しており、利便性とマナーの間で揺れるユーザー心理が浮き彫りになっています。

まとめ
相席ブロックは、単なる予約キャンセルにとどまらず、公共交通機関の信頼や経営に影響を及ぼす深刻な問題です。
各社の対策が進む中で、利用者1人1人がモラルを持った行動を意識することが求められています。
快適で公平な移動環境を守るためにも、「自分さえ良ければいい」という考え方から脱却することが大切です。

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