2015年5月、岩手県奥州市の静かな田園地帯で、1人の女性が突然消息を絶ちました。
結婚式を2週間後に控えていた31歳の水道検針員が行方不明となり、数日後に遺体で発見されたこの事件は、後に“史上最悪”とまで形容される凶悪犯罪へと発展します。
YouTubeチャンネル「日影のこえ」にて再取材の様子が公開され、改めて注目が集まっています。
当記事では、独自に入手された判決文や地域住民の証言をもとに、事件の真相とその余波を深掘りします。
事件の詳細
被害女性が最後に目撃されたのは2015年5月22日。
彼女はいつも通り水道検針の業務中であり、日中から夕方にかけて地域を回っていました。
しかし、その日の夕方を過ぎても戻らず、異変に気づいた周囲がすぐに捜索を開始。
警察の迅速な対応には理由がありました。
地元で“要注意人物”とされていた男の存在です。
この男・渡辺豊(当時40歳)は、過去に刃物を使った性犯罪で実刑を受けた経歴を持ち、小学生の頃から異常行動が目立っていたとされます。
警察は彼を早期に聴取し、供述をもとに彼の自宅から約2km離れた山林で女性の遺体を発見しました。

犯人・渡辺豊の生い立ちと過去
渡辺は幼少期から女性への異常な執着を見せ、小学生の頃には下着窃盗を繰り返していたと地元住民が証言しています。
彼の家庭環境にも歪みがあり、父親の多額の借金によって姓を変え、生活が転々とした過去が判明。
父は後に衰弱死し、家族が住んでいた家には未完成の建物だけが残されています。
そのような生い立ちからくる“情状酌量”の可能性も裁判で論点となりましたが、裁判所は「一定の同情はあるが、犯行とは無関係」と一蹴しています。
裁判資料から見る犯行の実態
記者が独自に入手した判決文には、渡辺の供述が詳細に記されていました。
その内容は荒唐無稽で、「猫を蹴ったことで怒りが湧いた」「500万円払えと言われた」「おしおきのつもりだった」など、信用に値しないものでした。
裁判所はこれらの供述を一刀両断で「信用できない」と判断。
また、被害者に覚醒剤を摂取させ、証拠隠滅を図った点を認定しています。
成人後3件の性犯罪歴、更生プログラム後すぐの再犯という経緯もあり、裁判所は「動機は認定しない」としながらも無期懲役を言い渡しました。
現在も続く地元住民の恐怖
事件から10年が経過した今も、渡辺の母親は事件現場となった家に1人で住み続けています。
登記上の名義は現在も「渡辺豊」のままで、集落の集まりにも姿を見せず、取材にも応じていません。
住民たちは今も「いつかまた出所してくるのでは」と不安を抱え続けています。
覚醒剤を使用した点も含め、再犯の可能性に強い警戒感を持つ声が絶えません。
被害者が残した未来と地元の記憶
事件の被害者女性は、事件の約2週間後に結婚式を控えており、式場で幸せそうにプランを選ぶ姿が記録されています。
地元紙・岩手日報には、彼女の人生とその未来が丁寧に刻まれていました。
婚礼担当者も「羨ましいほど幸せそうだった」と当時を振り返っています。

ネット上での反応と声
ネット上では、YouTubeでの再取材動画公開後、
・「なぜこうした人物が社会に戻されたのか」
・「再犯防止策は機能しているのか」
などの疑問と怒りの声が多数寄せられました。
また、「全国報道されなかったこと自体が問題」として、地方事件の扱い方への問題提起も見られます。

まとめ
静かな田園風景が広がる奥州市。
その風景は10年前とほとんど変わっていません。
しかし、その中に刻まれたこの事件は、決して風化させてはならない記憶です。
被害者が残した“幸せな未来”を想いながら、今後も再発防止と社会の安全性について私たちは考え続ける必要があるのではないでしょうか。

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